今朝は、ふと「季節感を楽しもうかな」と、金木犀のお香を焚いてみました。
部屋中にやさしく、懐かしい香りがふんわりと広がります。
私が小さいころ住んでいた家には、大きな金木犀の木があって、学校からの帰り道、まだ家が見えない遠くからでも、その香りがしました。
「あ、あのお花の香りがする」と、その香りが当時の私にとって<もうすぐお家に着く安心のサイン>だったのね、と今ではわかります。
今の私にとって、金木犀の香りは、ただの季節の香りではなく、郷愁の風景――あの頃の温かい記憶と、心がほっと安心できる場所へいざなってくれる特別な香りになっています。
香りって、本当に不思議な存在ですよね。
五感の中でも特にダイレクトに脳の奥深くに届き、記憶や感情と強く結びついています。これは、香りを感知する嗅覚の情報が、感情や記憶を司る大脳辺縁系という部分に直接アクセスする特別なルートを持っているからなんです。
心理学やアロマセラピーの視点から見ても、特定の香りは、私たちが意識しないうちに過去の心地よい記憶を呼び起こし、今の緊張やストレスを静かにほどいてくれる、大切なトリガーになることが分かっています。
きっとあなたにも、そんな「心のホーム」に繋がる香りや景色があるはずです。
それは、誰かの優しい声かもしれませんし、お気に入りのカフェで流れる音楽かもしれません。
もし、今少し心がざわついているな、疲れているなと感じたなら、無理に頑張らなくても大丈夫。
私たちが過去に経験した「ほっとする記憶」は、いつでも心の中に安全な場所(セーフティ・プレイス)としてそっと存在しています。
金木犀の香りが私を癒してくれたように、あなた自身の「心地よさ」につながる感覚を大切にして、その優しいエネルギーに身を委ねてみてください。
そうすることで、心は穏やかに、深い安心感に包まれていきますよ。


